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1.概要
保険は将来の保障確保の手段として活用されるのが原則ですが、あわせて保険を活用し会社の財務体質強化を図ることもできます。
保険には、生命保険、損害保険とありますが、とくに生命保険は大別すると、以下の3つとなると思われます。
●養老保険
●定期保険
●終身保険
必要に応じて保険に加入することは良いと思いますが、税金を安くすることのみを目的として、保険に加入することは望ましくありません。
なぜなら、保険料の支払いに伴って実際にお金が出ていきますが、必ずしも全額が損金(経費)算入になるわけではないので、損金(経費)算入できない残りの保険料はお金が出ていくだけです。また、赤字会社はそもそも税金が発生しないことから、損金(経費)算入の余地がありません。
そのうえ、支払った保険料の全額が損金(経費)算入とならないケースが多くなっており、近年、税制において保険を使った過度な財務戦略に対しては歯止めをかけられている傾向にあります。
とはいえ、将来の保障を主眼としつつ、副次的にある程度の財務体質強化を行うことも可能です。以下、具体的に述べたいと思います。
2.一般的な保険における保険料の税務上の取扱いの一覧表
保険種類 | 死亡保険金 受取人 | 生存(満期等)保険金受取人 | 主契約保険料 | |
養老保険 ・・・一定期間、死亡に備えながら資産形成ができる。満期時に生存していた場合には、死亡保険金と同額の満期保険金を受取ることができる | 会社 | 会社 | 全額資産計上 | |
社員の遺族 | 会社 | 1/2資産計上、1/2損金(経費)算入 ※役員のみ対象等の場合は給与扱いとなるので注意 | ||
定期保険 ・・・一定期間死亡に備える | 逓増定期保険 | 会社 | — | 1/2~3/4(満期時の年齢等により異なる)資産計上 ※資産計上額は保険期間の6割相当期間経過後に年々取り崩して損金(経費)算入します |
長期(平準)定期保険(保険期間満了時の年齢が70歳を超えるもので、逓増定期保険に該当しないもののうち一定のもの) | 会社 | — | 1/2資産計上 ※資産計上額は保険期間の6割相当期間経過後に年々取崩して損金算入します | |
その他の定期保険 | 会社 | — | 全額損金(経費)算入 | |
社員の遺族 | — | 全額損金(経費)算入 ※役員等のみ対象の場合は給与扱いとなり、損金(経費)にならなくなることがあるので注意 | ||
終身保障保険(医療) | 保険料払込期間終身 | — | 会社 | 改正により、原則年間30万円以下保険料の保険のみ全額損金(経費)算入、それ以外の保険は解約返戻率等により資産計上を要する |
保険料払込期間有り | — | 会社 | 一定額を資産計上後、資産計上額は払込終了後、順次年々経費化 ※支払時に即時経費となる金額は以下のとおり |
上記を見ていただければわかりますように、支払った保険料がすべて損金(経費)算入とはなりません。なかでも、とくに、定期保険は注意が必要です。
逓増定期保険や長期定期保険に該当した場合には、最低でも1/2はその時点では損金(経費)とならずに、何十年後かに損金(経費)とならなかった(資産計上(前払計上)された)保険料が少しづつ損金(経費)に算入されていきます。
とはいえ、逓増定期保険や長期定期保険に該当しない定期保険の保険料は全額損金(経費)算入することが可能です。
3.税制の取扱いから考える保険契約の形
(1)養老保険
養老保険の加入は、社員数がある程度となった場合には、検討されてみてはいかがでしょうか従業員の福利厚生面と財務体質強化も考慮すると、1/2は経費となる、死亡保険金の受取人を従業員の遺族とする契約の形態が良いと思います。
(2)定期保険
定期保険は、主として経営者に何かあった時に備えて、会社の一時的な保障という観点が良いと思います(中小企業は社長の力が大きいので)。保障と財務体質強化のどちらを重視するかによっても、どういった契約形態が良いのかも変わってくるかと思います。
●将来の保障重視
・・・上記の税務上の取扱いにかかわらず、保障の内容で判断する。
●どちらかといえば、財務体質強化を重視の場合
・・・満期時の年齢が70歳超の定期保険に加入する
但し、保険期間終了時の満期保険金は無いのでご注意ください。
比較的会社が若い状況では、保障重視で考えた方が良いかもしれません。
逆に、安定期の会社は、どちらかといえば財務体質強化を考えた方が良いかと思います。
定期保険から加入の検討をされるのが宜しいかと思います。
(3)終身保険(医療)
医療保険も主として、経営者に何かあった時に備えて加入するという考え方が良いかと思います。
しかし、終身保険ですので、基本的には、保障内容や業種にもよりますが、創業者一族以外の方が会社で終身働くということはまずありえませんので、法人で加入されるのではなく、個人で加入された方が良いのではないでしょうか
したがいまして、従業員に関しては、会社として加入の必要性は低いと思います。社員は退職や転職等の可能性もありますし、終身で働くことも考えられません(但し、会社の核となる人材は多少考えても良いかもしれません。)。
会社で終身保険を加入するということを検討する前に、まずは定期保険での加入を検討する方が良いと思います。
4.受取る保険金の税務上の取扱い
保険料を支払った際には、損金(経費)算入や資産計上となりますので、当然、受取る保険金についても経理処理が必要となります。
(1)会社が受取る保険金
会社が受取る保険金は、基本的に「雑収入」として、収益に計上されますので、税金の対象となります。但し、資産に計上されている保険料については、その部分は、雑収入から控除することとなります(つまり、資産計上部分は税金の対象となりません。)。
(2)社員の遺族が受取る保険金
社員の遺族が受取る保険金は、いわゆるその社員の遺族の相続税の対象となります。会社が死亡保険金を受取るわけではないので、会社の税金には影響はありません。
(3)被保険者(社員)が受取る保険金
下記の(参考)にあるように社員が受取る保険金は、所得税対象です。
どのように税金がかかってくるかは、その契約形態に応じて異なります。たとえば、年金形式で保険金を受取ると、雑所得となります。
5.最後に
(参考)その他の保険の保険料に係る税務上の扱い
保険種類 | 保険金 | 保険料 |
介護費用保険 ・・・被保険者の役員等が認知症や寝たきりにより介護が必要な場合に保険金がおりる | 被保険者 | ●60歳まで支払分・・・1/2資産計上、1/2毎年順次費用化(一時に経費とならない) ●60歳以降支払分・・・毎年順次費用化 ※役員のみ等対象の場合は給与扱いとなるので注意 |
保険種類 | 死亡保険金 | 年金 | 保険料 |
個人年金保険 | 会社 | 会社 | 資産計上 |
遺族 | 被保険者 | 給与 | |
遺族 | 会社 | 90%資産計上、10%部分順次損金(経費)算入 |
保険種類 | 保険金 | 保険料 |
会社役員賠償責任保険 | 役員 | ●普通契約部分・・・経費 ●株主代表訴訟特約部分・・・役員給与 |
「中小企業基盤整備機構」が取扱っている
●小規模企業共済制度・・・経営者の退職金制度
●中小企業倒産防止共済制度・・・連鎖倒産防止のための共済制度
を紹介します。
詳細情報はこちらです。
●小規模企業共済制度・・・経営者の退職金制度
●中小企業倒産防止共済制度・・・連鎖倒産防止のための共済制度
1.公的保険(国関係)
内容 | 特徴 | 対象者 | 共済金 受取人 | 備考 | |
中小企業倒産防止共済 | 得意先の倒産防止と 経営者の退職金原資 | 全額経費 40ヶ月以上原則100%返戻(掛金月額20万円が上限) | 会社 個人事業主 | 会社 個人事業主 | 財務体質強化可 前納可 |
小規模企業共済 | 経営者の 退職金 | 掛金全額所得控除 ・共済金一括受取りは退職所得 ・共済金の分割受取りは雑所得(年金) | 個人事業主又は役員 | 個人事業主又は役員 | 財務体質強化可(高所得者は節税効果大) |
中小企業退職金共済 | 従業員の 退職金 | 全額経費 但し、支払済みの掛金は会社の自由とならない | 従業員 | 従業員に直接 | 従業員の 福利厚生 |
2.民間保険
内容 | 特徴 | 対象者 | 保険金 受取人 | 備考 | |
長期 定期保険 | 死亡保障と経営者の退職金原資 | ・保険期間満了時における年齢は70歳超 ・当初保険料1/2損金算入、 保険期間6割相当期間経過後は全額損金算入+既資産計上額を年々償却 ・資産形成効果がある | 会社経営者 | 会社 | ・死亡保障と財務体質強化に優れている ・退職時に解約しないで、高齢時の死亡保障の選択も可 |
定期保険 | 経営者の 死亡保障 | 保険料全額損金算入 満期は原則70歳未満 | 会社経営者 | 会社 | ・解約返戻金ほとんど無し ・死亡保障 |
養老保険 | 役員・従業員の 退職金原資と死亡保障 | 保険料1/2損金算入 役員のみ対象は給与 | 会社経営者 従業員 | ●満期保険金は会社・事業主 ●死亡保険金は遺族 | ・社員の多い会社向け ・死亡保障と退職金の原資がセット |
終身医療保険 | 医療保障 (がん・その他) | まちまち(H24.4.26契約分までは全額損金) | 会社経営者 従業員) | 会社 (個人事業主) | ・会社役員の医療保障と財務体質強化 |
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