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経営分析を会社経営に生かす

経営分析

 

.概要 
経営分析については、様々な書籍が出版されています。市販の書籍では、様々な高度な分析が紹介されているものから簡単な分析のみ紹介されているもの等いろいろとあります。

しかし、実務上は、事業の規模・業種や社長・経理担当者の経営分析の理解度・計算の手間等により、どこまで行うかが重要と思われます。

中小企業では、いわゆる高度な経営分析はあまり必要では無いと思います。

経営分析は過去のデータを用いておりますが、過去の推移や同業他社との比較等から今後の方向性などを検討するための一参考資料と考えたほうが良いと思います。

また、数字のみから判断しているため、会社の人材の評価やノウハウ等については直接的に経営分析に反映されません(利益等に間接的に反映されておりますが)。

融資を受けている会社・検討している会社は、とくに経営分析についても頭に入れておいた方が良いかと思います。

 

2.前提

まず、最大の前提としましては、決算書のデータが正しいことです(当たり前ですが)。

但し、中小法人では、税務署の提出のためだけに決算書を作成している会社も多く、 正確性が不足している会社が多々あります。

また、経営分析は、業種によって全く数字が異なることとなりますので、自社の属している業種の数字と比較しなければ意味がありません(例 :小売業、卸売業等)。 

自社のデータとしては、最低3期分(できれば5期分)を用意して、他社との比較では、同業のデータも用意されると良いかと思われます。

なお、非上場会社は決算書が公開されていませんので、上場会社の有価証券報告書や決算短信等からのデータとの比較が良いかと思います。  

中小企業のデータでは、中小企業庁から出ている「中小企業の経営指標」等のデータ等ありますが、中小企業の決算書はそもそも当てにならないことが多いため(中小企業は税務が中心の為、節税等の結果として数字が歪められていることがままある)、公認会計士の監査がある上場会社のデータを使用されることをお勧めします。

 

3.分析の区分

経営分析は大きな区分に分けると以下のようなものに分解できます。 それぞれの区分を見て、さらに全体から見て検討すべきものです。例えば、会社が急成長の場面では、安全性は減少しますが、 成長性が増大するというケースが多く見受けられます。

したがいまして、数値が良い悪いで一喜一憂するのではなく、その会社や業種の成長の段階や、社長の経営方針に沿っているか、 自社の特徴は他社と比較してどのようなものかということを理解するように努めたら宜しいかと思います。

(1)収益性
(2)安全性
(3)効率性
(4)生産性
(5)成長性

 

4.具体的的分析

(1)収益性
収益性としましては、以下のようなものがあります。
①総資本経常利益率、②売上高利益率、③株主資本利益率

① 総資本経常利益率・・・経常利益÷総資本
経営分析の最も基本的な指標であり、また、収益性を計る上での最も基本的な 指標です。元手(借金も含む)に対する経常利益の比率です。いくら投入してどれだけの会社の正常利益の利回りがあるかということです。

もちろん高ければ高いほど望ましいとされています。この数字は、一般的に新規の投資を行った場合は、一旦数字が悪化することが多いです。 

新規投資(総資本増加)→ 徐々に投下資本回収(売上増加)

という流れとなるからです。したがって、投資が売上増加にあまり結びつかない場合には、 比率は減少します。会社の方針により、安全性を高めようとして、増資等により現預金を増加させたような場合にも比率は減少します。この総資本経常利益率は 総資本回転率×売上高経常利益率 に分解できます。

総資本回転率とは、売上高÷総資本で計算され、資本投入によって、どれだけの売上が計上されたか(回転できたか)の効率性を見ます。売上高経常利益率とは、経常利益÷売上高で計算され、 本業における利益率を見ます。

例えば、100円の商品売上で10円の経常利益なら、10%となります。なお、経常利益のかわりに営業キャッシュフローを使用すれば、 損益ではなく現金ベースでの比率を用いることなり、短期的な観点からはより優れた指標となります。

 

② 売上高利益率・・・各種利益÷売上高
①と同様に収益性を計ります。利益には、粗利・営業利益・経常利益・税引前利益・税引後利益がありますが、それぞれの利益との比率を見ると良いかと思います。

同業他社との比較や過去との推移で見た場合など、売上総利益率(粗利÷売上)が高いのに、売上高営業利益率(営業利益÷売上)が低い場合には、同業に比較して経費が多いのかもしれません。

また、売上高営業利益率が高いのに、売上高経常利益率が低い場合には、同業に比較して金利が高いのかもしれません。

なお、各種利益の代わりに営業キャッシュフローを用いれば、売上高がキャッシュフローを創出する効率を見ることができ、時系列で見た場合に変動がすくなければビジネスが安定しているといえます。

 

③ 株主資本利益率・・・税引後利益÷株主資本
株主の立場から見た収益性ですが、一般の中小企業では指標として意味が薄いことが多いです。

日本では、利益が大幅に計上されても、配当が大幅に上昇はしないですし、株価も必ずしも利益と連動するとはいえません。

また、中小企業では、出資者はオーナー社長で、資本金は非常に少ないところが多いので、あまり、他社との比較なども意味を持たないことが多い状況です。

 

(2)安全性
中小企業ではかなり重要な指標です。 以下のようなものがあります。

①流動比率、②当座比率、(③経常収支比率)、④自己資本比率、⑤固定比率、⑥固定長期適合率、⑦インタレスト・カバレッジ、⑧(売上高支払利息比率)、⑨安全余裕率

①流動比率・・・流動資産÷流動負債
短期的な安全性を図る基本的な指標です。100%を上回っている必要があり、170%程度を超えていれば優れているといえます。ただし、滞留している売掛金や滞留在庫等あれば、その分は外して計算しないと実態を反映した数字となりません。なお、この指標をあげるには以下の方法があります。

・  遊休固定資産の売却→現預金増加(流動資産増加)
・  長期借入→現預金増加(但し固定負債も増加)→指標良好化

但し、収益性低下及び金利発生

・  増資→現預金増加(資本増加)→指標良好化

但し、収益性低下及び資本構成の検討必要、また、増資登記費用発生と法人住民税均等割増税や税制上の優遇規程が受けられなくなることが考えられます。

基本的に、増資は税金上不利になることが一般的ですので、本当に必要なのかの検討が必要です。

 

②当座比率・・・当座資産(流動資産−在庫)÷流動負債
100%を超えていることが望ましいとされています。 中小企業では、個人的に、①の流動比率より、この指標を見る方が良いと思います。中小企業の在庫管理のレベルは、人員が豊富で設備も豊富な上場会社と比較すると落ちるからです。

そこで、在庫は除外して考えて、比率を計算するほうが、より正確な役立つデータを得られるものと思います。

③経常収支比率
割愛します。

 

④自己資本比率
・・・自己資本÷総資本(自己資本+他人資本、債務超過でなければ総資産と同じ)返却する必要の無い元手がどの程度あるかの比率です。日本企業の平均では30%程度と言われております。

高ければ高いほど安全性は高いといえますが、高すぎても収益性が悪いことも考えられます。不良債権・不良資産の処分や増資により数字は良好化します。なお、事業拡大の局面では、悪化することが見受けられます。  

 

⑤固定比率・・・固定資産÷自己資本
100%以下であると優れているとされています。 もちろん、少ないほど良いものです。固定資産の投資は、長期資金を元手に賄うことが原則であり、 返済を要しない自己資本の範囲内で収まっていると望ましいものです。

なお、機械装置等を必要とする製造業や、固定資産の金額の大きい不動産賃貸業等は他業種と比較して数字が悪いのが一般的です。

 

⑥固定長期適合率・・・固定資産÷(自己資本+長期負債)
100%以下であることが望ましいとされています。 固定資産の投資は、自己資本のみで賄えるのが理想ですが、それに加えて、短期的に返済する必要の無い、固定負債も元手に含めて考える指標となります。

注意すべきは、2年後の返済分も固定負債として計算されますが、 実際上、元手として考えるのはどうかと思います。したがって、他社との比較では、同様に計算して、自社のみの分析資料としては、投資した固定資産の実際の耐用年数との比較で 考えるという方法もあると思います。(例:機械装置の平均実際耐用年数が10年なら、長期負債の10年経過以降後のものをこの指標における元手と考える等)  

 

⑦インタレスト・カバレッジ
・・・(営業利益+受取利息)÷(支払利息+手形割引料)

利息の支払い能力を見る指標です。金利以上をどれだけ上回る会社の本業の利益と利息があるかを見ます。もちろん、1以上ない状態が続くと会社は存続できません。

 

⑧(売上高支払利息比率)
割愛します。

 

⑨安全余裕率
(売上高−※損益分岐点売上高)÷売上高※損益分岐点売上高=固定費÷(1−変動費÷売上高)

売上高がどの程度損益分岐点売上高(利益がプラスマイナスゼロの売上)を上回っているか見る指標です。理論としては優れていますが、会社全体ではなく部門損益やプロジェクトごとに分析する場合に使用するものでしょう。

まず、経費を固定費(必ず発生する経費)と変動費(売上に比例して発生する経費)に区分する必要があります。この区分が最も難しいものであり、時間をかけて行うわりにその分析の結果の数字が役立つかどうか疑問が残るあたりです。

 

(3)効率性
効率性はその名のとおり、効率的な経営ができているかということを見る指標です。効率性と収益性は一般的に密接な関係にあり、効率性が上昇すると収益性の向上に連動する場合があります。以下のようなものがあります。

①売上債権回転期間、仕入債務回転期間、②棚卸資産回転期間、③交差比率、④固定資産回転期間

①売上債権回転期間、仕入債務回転期間
 ●売上債権回転期間
・・・売上債権(売掛金+受取手形等)÷1日当りの売上高売上債権を平均何日で回収できているかを示す指標です。なお、売上高を売上債権で割ったものは売上債権回転率といいます。

●仕入債務回転期間
・・・仕入債務(買掛金+支払手形等)÷1日当りの売上原価仕入債務を平均何日で支払っているかを示す指標です。なお、売上原価を仕入債務で割ったものは仕入債務回転率といいます。

もちろん、売上債権の回収期間が短ければ短いほど良いのですが、 業種の特性などもありますので、売上及び仕入債務回転期間の差で見るべきものとなります。売上債権の回収期間が仕入債務の支払期間より短かければ、原則として運転資金の必要性は無いこととなり、逆の場合には、運転資金が必要となります。

日銭の入る業種(飲食店等)は、この回転期間は非常に良い数字となっております。大きな得意先や仕入先ごとに回転期間を計算してみると新たな発見があるかもしれません。債権管理・与信管理等に役立てることができます。

 

②棚卸資産回転期間
在庫÷1日当り売上高
在庫が何日分の売上に対応しているのかを表すものです。この数字は低ければ低いほど望ましいものです。なお、売上高÷在庫で計算すれば棚卸資産回転率となります。在庫は一般的に少ないほうが良いものとされています。

なぜなら、在庫への投入費用が拘束されてしまうという資金繰りとの観点や保管費用その他、売れ残りの可能性もあります。但し、注文があった場合に出荷できないという機会損失による売上の減少には注意が必要です。

一般的に、回転期間の短い商品は利益率が低く、逆に高いほど利益率が高くなっています。少なくとも主要商品は、商品別に利益率と一緒に回転期間も把握することが望ましいとされています。

なお、在庫管理ではパレートの法則(2割が全体の8割を占める) に基づいたABC分析という手法がありますので、まずは、全体の8割を占める2割の商品について分析を行ってみる方法が考えられます。  

 

③ 交差比率
粗利÷在庫
高いほど良いとされており、商品ごとに分析を行うと良いものです。交差比率は、売上総利益率×棚卸資産回転率に区分できます。その商品は、回転で稼ぐものなのか、利益率で稼ぐものなのかという商品特性を把握して、戦略を立てられます。   

 

④固定資産回転期間
固定資産÷1日当り売上高
固定資産が何日分の売上に対応しているのかを表すものです。この数字は低ければ低いほど固定資産が売上に貢献していることを表します。なお、売上高÷固定資産で計算すれば固定資産回転率となります。

過年度からの推移を見たりすることで、設備投資の有効性等の検証ができます。ただ、固定資産投資を行ってもすぐに結果がでないこともあり、また、資産が老朽化 して、新設備の取換を行わなくてはならない場合などは数字が悪くなることもありますので、その当りも加味して見なければなりません。

なお、製造業等除けば、時代的に固定資産うんぬんよりアイデアや営業等の重要性の比重が高くなっておりますので、この比率の有効性は薄れているように思われます。

 

(4)   生産性
生産性は、人・物・金を投入して、どの程度の成果を挙げたかを表す指標です。ただ、私は個人的にはあまりピンとこなく、他の指標のさらに補充的な指標と位置付けるのが良いと思います。生産性で見る成果(産出量)では、付加価値で見ます。

付加価値の計算方法には以下の2種類があります。

・ 控除法・・・売上高−外部購入価額(商品仕入代金及び外注加工賃等)
業種等により外部購入価額が異なります
・ 加算法・・・経常利益+人件費+賃借料+金融費用+減価償却費+租税公課等
労働生産性=付加価値÷従業員数

従業員1人当りの付加価値額となります。高いほど基本的に良いこととなります。労働生産性の増加率と従業員1人当りの人件費の増加率との比較等により分析ができます。その他の分析もありますが、割愛します。

 

(5)   成長性
成長性は、いままで紹介した指標により、過去との比較や景気動向により判断します。具体的には、規模の拡大の観点、人的拡大の観点、安全性の観点等からその成長性を判定します。

規模の拡大の観点では、売上高増加率や経常利益増率、 総資本増加率等あります。また、人的確定の観点では、付加価値増加率や人員増加率等あります。そして、安全性の観点では、自己資本比率や流動比率の推移等あります。 

 

5.最後に 
長くなってしまいましたが、結論としては、たくさん分析を行うのではなく、その会社で必要と思う指標を取捨選択して適用されれば良いかと思います。

あくまで、目的は、経営の判断の参考資料となるものでありますので、資料を作成したけど見ても良く分からないというものでは意味がありません。適宜簡易なものにするという判断も必要かと思います。

 

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