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M&Aにおきましては、価額というものは最大重要項目です。
株価ということを聞くと大部分は上場会社等の市場価格を思い浮かべると思います。
但し、何百万ある株式会社の中では非上場株式の方が圧倒的に多いのが現状です。
非上場株式の価額は 結論から申し上げますと、その採用する評価方法により、その算定結果の価額は変化します。
但し、最終的には買手に値段の決定権があるため、評価方法を使用した株価評価は、あくまでその交渉の材料 と考えてください。
なお、合理的な評価方法を採用しても、契約当事者や背景等によっては税務では認められない場合もあります。
株式の売買においてどのような評価方法を採用するかは、
● その売買等に至った背景・事情
● 売主と買主との関係
● 価額決定に恣意性の介入する取引かどうか
● 売買当事者の属性
● その会社の財政状態・経営成績
● その会社の属する業界特性
● 中期事業計画の有無
● その他の様々な事情
を勘案することとなります。
株式評価方法には、様々な方法があります。以下、いくつか紹介します。
下記、記載してますが、中小企業のM&Aでは、年倍法又はEBITDAマルチプル法
のどちらかが使用されることが最も多いです(下記では記載してませんが、、、)。
1.財産評価基本通達(以下「税法通達」という。)に基づく評価方法
関係会社間や親族間等の売買においては最重要な評価方法です。
第三者との売買ではない場合、税務上はこれ以外の方法では許容されないことが多いのが現状です。
(税金や税負担を除外視して、当事者間で他の方法を採用することも可能ではあります。)。
税法通達に基づく評価方法については、以下の3つの態様によりその考え方が区分されます。
(1) 個人から個人へ
(2) 個人から法人へ
(3) 法人から法人へ又は法人から個人へ
(1) 個人から個人へ
個人から個人に譲渡する場合には、贈与税の規定が適用されるため、みなし贈与を回避するための価額設定が必要となります。つまり、税法通達に基づいて株価算定していれば原則として、支障はありません。
(2) 個人から法人へ
個人から法人に譲渡する場合には、譲渡する個人側では所得税の基本通達により、購入する法人では法人税の基本通達により、財産評価基本通達を準用することとなります。
但し、評価方法にかなりの制限が介入してきます。
なお、原則として、譲渡者の譲渡直前の株主構成により税務上の検討を行うこととなります。
(3) 法人から法人へ又は法人から個人へ
法人から法人へ又は法人から個人へ譲渡する場合には、法人税法基本通達により財産評価基本通達を準用する等の評価方法を採用します。
この方法も上記(2)同様、かなりの制限が介入してきます。なお、売買実例がある場合には、その売買価額を使用する等の方法もあります。
2.DCF法
将来のインキャッシュフローを現在価値に割り引き、その合計を求めることで、その投資価値を図る方法です。
主として、会社収益力、特に、その会社のキャッシュ獲得能力により会社の価値を評価する方法となります。会社支配権の異動を伴う売買などに使用されます。
3.NPV(正味現在価値法)
将来の予測収益を現在価値に割引き、その金額と収益活動を構成しない資産・負債の総和で投資価値を図る方法です。
主として、会社収益力により会社の価値を評価する方法となります。
この方法も、主として、会社収益力により会社の価値を評価する方法となり、会社支配権の異動を伴う売買などに使用されます。
4.ゴードンモデル方式
配当がさらに再投資され、その再投資された配当がさらに配当を生みだすという仮定等からその投資価値を判断する方法です。
配当のみで投資価値を判断することから、少数株主の立場からの評価方法です。
なお、非上場会社は、配当を行っていない会社が実際問題多いので、この方法は採用されることは少ない状況です。
5.類似会社比準方式
類似会社を選定して、その株価に各種比率の乗じる方法です。
評価会社と類似する会社をうまく選定できれば合理的な方法といえます。但し、実務的にその選定は容易ではなく、また、情報の入手可能性から難しい面があります。
6.類似業種比準方式
評価会社の属する業種について、国税庁が公表している上場会社の株価平均値に上場会社平均と評価会社との配当・利益・純資産の比率を考慮して、株価を算定する方法です。 (3つの要素の中では利益を最も重視します。)
上記5.の類似会社比準方式と類似しておりますが、こちらは、類似会社に限定されていないこと、また、国税庁が公表している数値のため、計算の仮定が排除されるということが長所です。
7.簿価純資産価額方式
評価会社の帳簿上の資産から負債を控除した金額をもって、評価する方法です。
この方法は、会社のストックについて、帳簿価額のみを利用していますので、計算は簡便ですが、会社価値をあまり反映していないので、評価が適正なものとはいえないことが多い状況です。
ただし、会社の資産の大半が現預金で負債も無い等、帳簿価額と時価がほとんど一致しているような状況であれば、採用することも考えられます。
8.時価純資産価額方式
評価会社の資産・負債を時価に換算して、その正味価値により評価する方法です。
会社の収益力は加味せずに、会社のストックの時点価値で評価する方法となります。
会社の支配権が異動する取引の場合、その会社の処分等について、影響力を有することから、この方法は合理性があります。なお、採用する時価について個別に何を用いるのかについても考慮が必要です。この方法が理論的に最も納得が得やすいかとは思います。
9.最後に
もちろん、上記のほかにも様々な株式評価方法はあります。
実際の株価算定においては、上記のうち1つを使用するのみならず、それぞれの方法により算定した株価を併用して(何%ずつかを考慮して)、最終的な株価を算定する方法もよく採用されております。
なお、中小法人の決算書は税務基準に乗っ取って作成されていることが多く、実際の会計基準には必ずしも準拠していない場合もままあります。
また、経営者コスト(社宅や専用利用の車両等)や節税コスト(節税のための保険など)の調整も必要だったりします。
したがいまして、中小法人の決算書の中にはそのままでは実態を正確に表していないものもまま見受けられます。
上記はあくまで、一定の評価方式により株価を算定することを述べております。
利害関係が対立する第三者間での実際の株式売買価額は、交渉(主として買主)により決定されることが多い状況ですので、一方あるいは、両者の算定した株価を基準に価額の妥協などが行われるのが現実です。
また、採用する方法により、算出される株価は当然異なることから、その算出された 株価によっては、税務上の問題が発生することも考えられます。つまり、通常の株式売買における株価と税務上許容される株価は同時に検討する必要があります。
特に同族関係者間での株式売買等については、税法通達以外の評価方法を 採用することは問題になるケースが多い状況です。
※非上場株式の売買の相談のみの依頼は受け付けておりませんので、あらかじめご了承願います。
簡単に完結する相談でないためです(相談を希望される方が多いため記載させていただいております。)。
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