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延び延びとなっていた平成23年度税制改正と震災復興財源確保税制が
平成23年12月2日に公布・施行されました。
・平成23年の税制改正は大綱と異なる結果となっていること
・震災関連で異なる税制改正も行われていること
から、6月30日に公布されているものとあわせて改めて全体的にそのポイントをお知らせいたします。
【概要】
平成23年に行なわれた税制改正はマクロ的な視点で見た場合、だいたいが増税の路線です。
しかし、法人税率の軽減と繰越欠損金の期間延長を考慮すると利益が継続的に発生する中小法人にとっては悪く無い改正だともいえます。
原則平成24年4月1日以後開始事業年度から適用されます。
今回の改正で大きなものを
・減税のもの
・増税のもの
にわけて記載すると
「減税のもの」
●法人税等 法人実効税率の引き下げ
●法人税等 青色欠損金の繰越期間延長
●更正の請求が可能な期間の延長
「増税のもの」
●法人税等 大法人の青色欠損金の利用制限
●法人税等 復興特別法人税
●所得税 復興特別所得税
●住民税 復興特別住民税
●法人税等 定率法減価償却の償却率の減少(H23.6.30交付分)
●法人税・消費税・所得税・相続税・贈与税 故意の申告書不提出によるほ脱犯の創設(H23.6.30公布分)
●消費税 免税事業者要件の見直し(H23.6.30公布分)
●消費税 仕入税額控除制度の見直し(H23.6.30公布分)
です。
以下、詳しく述べさせていただきます。
【減税のもの】
1.法人税等 法人実効税率の引き下げ
平成24年4月1日以後に開始する事業年度から税率が適用されます。
(例:2月決算の会社は26年2月期からとなります。)
(1)中小法人(原則資本金1億円以下)
●所得800万円以下部分・・・法人税の税率が15%(現在18%)
●所得800万円超部分・・・法人税の税率が25.5%(現在30%)
ちなみに所得が400万円以下の中小会社の実効税率としては、
(15%×1.173+5%)÷(1+5%)≒21.5%
となります。
(2)大法人(資本金1億円超)
法人税の税率が25.5%(現在30%)
大法人の実効税率としては、
(25.5%×1.207+7.56%)÷(1+7.56%)≒35.64%
となります(別途外形標準課税の付加価値割と資本割があります。)。
※上記記載しましたが、実際には後述する【増税のもの】2.の震災特別法人税が
別途課税されますので、結果として、上記の税額の1割増しとなる形です。
・震災特別法人税考慮した大法人の実効税率は
(28.05%+※25.5%×0.207+7.56%)÷(1+7.56%)≒38.01%(別途外形標準課税の付加価値割と資本割があり)
※法人住民税には震災特別税は付加されない
2.法人税等 青色欠損金の繰越期間延長
現在、青色欠損金の繰越期間が7年ですがこれが9年に延長されました。
(注)青色欠損金とは、青色申告の会社の所得(税務上の利益)がマイナスの場合に発生する損失です。
その損失は繰越ができて、翌期以後の所得と相殺が可能です。
平成20年4月1日以後に終了した事業年度において発生した欠損金から適用されます。
3.更正の請求が可能な期間の延長
税額計算に誤りが見つかった場合等などで、その税金を取り戻してもらう手続きが更正の請求です。
(修正申告の反対の手続きとイメージしていただければと思います。)
減税というわけではありませんが、手続きが可能な期間が延長されますので、
大きい意味で税金を減少できる可能性がある項目です。
手続き可能な期間が従来は1年でしたが、それぞれ以下のようになりました。
・法人税 原則5年
・消費税 3年
・相続税 3年
・贈与税 6年
・所得税 3年
平成23年12月2日以後に申告期限がくるものから適用されます。
【増税のもの】
1.法人税等 大法人の青色欠損金の利用制限
・資本金1億円以上の法人
・資本金5億円以上の100%子会社
に適用されます。
過去からの繰り越された青色欠損金(≒税務上の損失)がある場合、
従来はその青色欠損金の全てを使用することができましたが、今後は上記の大会社等は制限されます。
繰越損失を使用する前の所得(税務上の利益)の80%を上限として繰越損失が使用できるようになります。
例:所得が1期目△500万円、2期目△100万円、3期目400万円
この場合、
【現在】3期目400万円−(△500万円+△100万円)<0 → 所得0円
【改正後】3期目 400万円×80%=320万円<500万円+100万円=600万円
400万円−320万円=所得80万円
大きな増税項目です。
過去の損失が一切なく、今後も損失が計上されなければ影響はありませんが、
資本金はできれば1億円未満に抑えたいところです。
24年4月1日以後開始事業年度から適用されます。
2.法人税等 復興特別法人税
平成24年4月以後開始事業年度から適用の増税項目です。
震災復興のための財源を確保するために増税が決定されております。
従来の法人税(厳密には課税標準法人税額)×10%
が増税されるイメージです。
平成24年4月以後開始の期から、原則として国税の法人税の税率が25.5%となりますので、
単純には、25.5%×1.1=28.05%になる
ということとなります。
3.所得税 復興特別所得税
平成25年~49年の25年間にわたる増税です。
震災復興のための財源を確保するために増税が決定されております。
従来の所得税(厳密には基準所得税額)×2.1%
が増税されるイメージです。
単純には所得税率30%だった人は30%×1.021=30.63%になる
ということとなります。
4.住民税 復興特別住民税
平成26年度~平35年度の10年間にわたる増税です。
個人も個人住民税均等割が現在、年間4千円課税されておりますが、
今後は震災財源として1千円加算され、年間5千円の個人住民税となります。
5.法人税等 定率法減価償却の償却率の減少(H23.6.30公布分)
現在、固定資産を取得した際、定率法の減価償却の率は定額法の2.5倍です。
これが、平成24年4月1日以後に取得する固定資産については、定額法の2.0倍となります。
つまり、減価償却の金額が従来より減少します(但し、耐用年数全体で考えれば償却額の総額は同じです。)。
但し、これには経過措置があります。
事業年度の開始が平成24年4月1日より前の場合、その事業年度が終了する日までに
取得した固定資産については、現在の定率法の償却率(定額法の2.5倍)が認められます。
例として、税制改正の影響が最も遅い、2月決算の会社では
平成25年2月期までに取得した固定資産について、現在の定率法の償却率を適用することができます。
金額の大きな機械などの購入等を検討されている会社は上記も頭の隅にでも入れていただければと思います。
なお、定額法と定率法の違いが分からない方についてはインターネット等で検索していただければと思います。
簡単には定額法はその名の通り、減価償却費を耐用年数(使用可能期間)で均等定額に計上する方法です。
定率法は初期の段階で多く減価償却を行い、年数の経過により償却額が減少する方法です。
耐用年数(使用可能期間)全体の期間で考えると総額の減価償却費は同額なのですが、
定率法の方が前倒しで減価償却費を多く計上できるので、定額法に比較して節税した分を運用に回すことができる
ということで定率法の方が通常有利です。
6.法人税・消費税・所得税・相続税・贈与税 故意の申告書不提出によるほ脱犯の創設(H23.6.30公布分)
増税という話しではないですが、罰則強化という面で、デメリット的な話しなのでここに記載させていただきました。
確定申告書等をその提出期限までに提出しないことにより法人税や所得税を免れた者は、
5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを重複適用されてます。
こちらはすでに適用されてます。
従来より罰則が重くなっておりますので、適正に期限内申告のご協力をお願いします。
7.消費税免税点要件の見直し(H23.6.30公布分)
消費税対象となる収入(以下、「課税売上高」と言います。)が
年換算で1,000万円を超えない場合、2年後の消費税の納税義務が必ず無かったのですがその制度が変わりました。
小規模事業者にとっては劇的な改正と言えます。
【平成25年1月以後に開始する事業年度】から適用するよう変更されてます。
(当初案は平成24年10月以後開始事業年度から変更予定でした。)
(1)法人
①前事業年度>7ヶ月の場合
前事業年度の開始日から6ヶ月間の課税売上高又は給与支払総額>1,000万円・・・消費税の納税義務者
②前事業年度≦7ヶ月の場合
前々事業年度開始日から6ヶ月間の課税売上高又は給与支払総額(注)>1,000万円・・・消費税の納税義務者
(注)(前々事業年度≦5ヶ月の場合は、その前々事業年度の課税売上高又は給与支払総額)
(2)個人事業主
前年1月~6月の課税売上高又は給与支払総額>1,000万円・・・消費税の納税義務者
新設法人にとって最も影響が大きな改正といえます。
新しく会社を作った場合、従来、資本金を1千万未満とすれば、最低2期目までは消費税の納税義務が無かったのですが、
今後(25年1月以後開始事業年度)は、2期目から消費税の納税義務者となる可能性がでてきます
(もちろん、1期目の上半期の売上又は給与が少なければ別です。)。
8.消費税 仕入税額控除制度の見直し(H23.6.30公布分)
消費税対象となる収入が年間5億円を超える事業主にのみ適用される消費税の増税規定です。
平成24年4月以後に開始する事業年度から適用されます。
消費税の計算方式は原則として「預った消費税」−「払った消費税」
を納付することとなります。
したがって、消費税が非課税な収入(例:医者の保険医療や預金利息など)に対応する経費等の消費税は控除できないのが原則です。
但し、今までは収入のうち消費税が非課税のものの割合が少ない(5%未満の場合)は、
簡便性から消費税が非課税の収入に対応する経費等も控除することができてました。
それが、今後はできなくなってます。
すなわち、収入のうち消費税の非課税のものの割合が少ない場合であっても、
原則通り、その消費税非課税の収入に対応する経費等を控除することができなくなります。
なお、預金利息も対象となりますので、基本的に収入が5億円を超えるすべての会社が影響を受けることとなり、税額への影響は少なくても、事務手続きが煩雑となることが予想されます。
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